同棲してないカップルは共同口座を作れる?実データで見た向き不向き
同棲していないカップルでも共同口座は作れるのか。日本の銀行で2人名義の口座が作れない理由、住所が別だと家族カードも使えないこと、別れたときに名義人のものになるリスクをまとめました。ふたりわりのペア 298 組を集計すると 67.4% が同棲しておらず、毎月決まって出ていく共通の支出があるのは 33.3% だけ。共同口座が空回りしやすい理由を実データで示します。
目次
まだ一緒に住んでいないけれど、旅行代やデート代を「ふたりのお金」としてまとめたい。そう思って共同口座を調べると、出てくるのは同棲・結婚前提の説明ばかりで、自分たちに当てはまるのか分かりません。
結論は 2 つあります。2 人名義の口座はそもそも作れません。そして、同棲していないカップルの場合は作れないこと自体はあまり問題になりません——共同口座が解決する問題を、まだ持っていないからです。
その根拠を、ふたりわりに記録されたペア 298 組の実データで出します。
67.4%
同棲していないペア
298 組中 201 組
33.3%
毎月決まって出る支出がある
同棲ペアは 62.1%
5.2 倍
旅行があった月 ÷ なかった月
月ごとの振れ幅の正体
前提:2 人名義の口座は、同棲の有無にかかわらず作れない
まずここを押さえておくと、以降の判断が早くなります。
日本の銀行では、本人確認義務(犯罪収益移転防止法)の関係で、普通預金の共同名義口座を原則扱っていません。夫婦でも作れないので、交際中のカップルならなおさらです。
つまり世の中で「共同口座」と呼ばれているものは、実際にはこうです。
片方の名義で口座を作り、もう一方がキャッシュカード・暗証番号・銀行アプリを共有して、事実上ふたりで使う
この仕組み自体は、同棲していなくても作れます。問題は「作れるか」ではなく「機能するか」です。口座そのものの基礎知識は カップルの共同口座・共有口座の作り方 にまとめています。
同棲していないと、追加で使えなくなるもの
同棲しているカップルと比べて、別々に住んでいると選択肢がさらに狭くなります。
| 手段 | 同棲している | 同棲していない |
|---|---|---|
| 2 人名義の口座 | 作れない | 作れない |
| 片方名義+カード共有 | 使える | 使える(ただし後述のリスク) |
| 家族カード | 原則不可(事実婚なら会社により可) | 不可 |
| 共有プリペイドカード | 使える | 使える |
| 世帯としての手続き | 一部可能 | 不可 |
いちばん効いてくるのが家族カードです。多くのカード会社が申込対象を「本会員と生計を同一にする配偶者・親・子(18 歳以上、高校生を除く)」と定めています。楽天カードやイオンカードのように内縁関係・同性パートナーを配偶者に含める会社もありますが、そこでも「生計を同一にする」が条件です。
同棲していれば住民票の続柄を「妻(未届)」にするなどで事実婚を示せる場合があり、その場合の会社別の可否は 同棲カップルは家族カードを作れる? にまとめました。一方で住所が別なら、その証明の取りようがありません。カード会社によって条件は異なるので、最新の対象範囲は各社の公式ページで確認してください。
実データ:同棲していないカップルは何にいくら使っているか
ここからが本題です。ふたりわりに記録されたペア 298 組を、家賃・光熱費・通信費などの固定費らしい立替があるかで 2 つに分けました。
| ペア数 | 割合 | |
|---|---|---|
| 同棲していないと見られる | 201 組 | 67.4% |
| 同棲していると見られる | 97 組 | 32.6% |
約 7 割が同棲していません。 「ふたりでお金を共有したい」という悩みの多数派が、実は同棲前のカップルだということです。
そのうえで、2 ヶ月以上の記録があるペアに絞って、月ごとの共有支出を比べました。
| 同棲していない(72 組) | 同棲している(66 組) | |
|---|---|---|
| ふつうの月 | 28,456 円 | 80,661 円 |
| いちばん高い月 | 50,147 円 | 133,818 円 |
| 毎月繰り返す項目がある | 33.3% | 62.1% |
「共同口座」の実態は、1 つの名義の口座をふたりで見ている状態。
共同口座が空回りする理由:引き落とす対象がない
共同口座のいちばん大きな利点は、家賃・光熱費・通信費を自動引き落としにして、毎月の立替そのものをなくせることです。
ところが同棲していないカップルには、その引き落とす対象がありません。
実データでも、月をまたいで同じ項目を繰り返し記録しているペアは 33.3% でした。同棲ペアの 62.1% に対して、ほぼ半分です。残りの 66.7% には、そもそも「毎月決まって出ていくふたりのお金」が存在しません。
引き落とす対象がない口座に毎月定額を入れると、こうなります。
- 入れた分が使われずに溜まる → ただの共同貯金になる(それ自体は悪くないが、口座である必要はない)
- 何に使っていいか曖昧なまま → 片方が立て替えて、結局いつもの精算に戻る
- 数ヶ月で入金が止まる → 残高だけ残って放置される
金額が毎月一定にならない
もうひとつ、定額の入金と噛み合わない理由があります。月ごとの振れ幅が大きいことです。
同棲していないペアのいちばん高い月は、ふつうの月の 1.68 倍(中央値)。倍率そのものは穏やかに見えますが、その振れがどこから来ているかがはっきりしています。
| 月数 | その月の共有支出(中央値) | |
|---|---|---|
| 旅行があった月 | 62 ヶ月 | 55,706 円 |
| 旅行がなかった月 | 251 ヶ月 | 10,752 円 |
5.2 倍の差です。同棲していないカップルのお金は、毎月じわじわ出るのではなく、旅行や遠出のある月だけ跳ねる形をしています。
「毎月 1 万円ずつ入れよう」と決めても、旅行の月には足りず、何もない月には余る。定額を積む器は、この形に合いません。
ちなみに 1 件あたりの金額は、同棲していないペアで中央値 2,090 円、同棲ペアで 2,100 円とほとんど差がありません。違うのは単価ではなく、回数と固定費の有無です。
それでも作るなら:別れたときどうなるか
共同口座を作る判断をするなら、ここだけは先に決めておいてください。
口座の中身は、原則として名義人のものとして扱われます。未婚のカップルには、離婚時の財産分与にあたる規定がありません。「半分は自分が入れた」と言うには、誰がいつ・いくら入れたかの記録が必要になります。
さらに、結婚資金のようにまとまった額を相手名義の口座に移すと、贈与とみなされる可能性があります。暦年課税の基礎控除は年間 110 万円で、夫婦にある配偶者控除のような制度は未婚のカップルには使えません。金額が大きくなるなら税理士に確認してください。
実務的な予防策は 3 つです。
- 入金を記録に残す — 振込の履歴か、アプリの記録。口頭の合意だけにしない
- 目的別口座で用途を分ける — ドコモSMTBネット銀行(旧 住信 SBI ネット銀行)なら無料で 10 個まで作れる。「旅行用」「生活費用」を混ぜない(楽天銀行・PayPay 銀行にこの機能はありません。銀行別の可否はこちら)
- 残高の上限を決める — 日常の支払い用なら数万円まで。それ以上は各自の口座に置く
代わりになる 3 つの方法
同棲していないカップルがお金を共有する現実的な選択肢は、次の 3 つです。
| 方法 | 向いている目的 | 注意点 |
|---|---|---|
| ① 片方名義+目的別口座 | 結婚資金・旅行資金の貯金 | 名義人のものになる。入金記録を残す |
| ② 共有プリペイドカード | 月数万円の共同の支払い | チャージが要る。使途が限られる |
| ③ 立替を記録して精算 | デート代・旅行代の都度の分担 | 記録を続ける必要がある |
同棲していないカップルの支出は、先に見たとおり「ふつうの月は 1 万円前後、旅行の月だけ跳ねる」形です。これは①でも②でもなく、③に素直に当てはまります。
口座も名義も触らずに済むので、別れたときの精算問題も起きません。実際、同棲していないペアが 1 回の精算で動かしている金額は中央値 3,210 円でした。器を用意するほどの金額ではありません。
遠距離で会う頻度が低い場合の運用は 遠距離カップルのお金管理 に、同棲や結婚まで含めた段階別の整理は カップルのお金の仕組み にまとめています。
口座を分けたまま、お金だけ共有する
ふたりわりは、ふたり専用に絞った立替の記録アプリです。口座も名義も触らずに、どちらがいくら多く出しているかだけを共有します。
立て替えたその場で記録しておけば、次に会ったときに表示された差額を渡すだけで終わります。旅行のように金額が跳ねる月でも、1 件ずつ折半か片方負担かを選べます。
ふたりわり
本サイト開発元ふたり専用の立替記録 ・ 完全無料 ・ 本サイト開発元
- 登録不要
- 記録は 10 秒
- 項目は自動で推測
- 月末に差額だけ
招待はリンクを送るだけですが、相手にもアプリを入れてもらう必要があります(どちらもアカウント登録は不要です)。
その場で 1 回分だけ割りたいなら、割り勘・立替の精算計算機 がブラウザだけで使えます。
まとめ
- 2 人名義の口座は、同棲の有無にかかわらず作れない。「共同口座」の実態は片方名義+カード共有
- 同棲していないと家族カードも作れない。申込条件の「生計を同一にする」を満たせないため
- 利用者の 67.4% が同棲していない。共有の悩みの多数派は同棲前のカップル
- 毎月決まって出る支出があるのは 33.3% だけ(同棲ペアは 62.1%)。引き落とす対象がない口座は空回りする
- 旅行の月は 55,706 円、ない月は 10,752 円。定額を積む運用と形が合わない
- 別れたら名義人のもの。作るなら入金記録・目的別口座・残高上限の 3 点を先に決める
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よくある質問
Q. 同棲してないカップルでも共同口座は作れますか?
2 人名義の口座は作れません。これは同棲しているかどうかに関係なく、日本の銀行が本人確認義務のため共同名義の普通預金を原則扱っていないからです。実際の「共同口座」は片方の名義で口座を作り、カードと暗証番号を共有して事実上ふたりで使う運用を指します。同棲していない場合はこの運用のメリットが小さく、リスクだけが残りやすい点に注意してください。
Q. 同棲していないと家族カードは作れますか?
作れません。家族カードの申込対象は、多くのカード会社で「本会員と生計を同一にする配偶者・親・子(18 歳以上)」と決められています。楽天カードやイオンカードのように内縁関係・同性パートナーを配偶者に含める会社もありますが、いずれも生計が同一であることが前提です。住所も家計も別の交際中のカップルは、この条件を満たしません。
Q. 同棲前に共同口座を作るのは早いですか?
固定費が発生していないなら早いです。共同口座のいちばんの利点は、家賃や光熱費を自動引き落としにして毎月の立替をなくせることです。ふたりわりの実データでは、同棲していないペアで毎月決まって出ていく項目があるのは 33.3%(同棲ペアは 62.1%)でした。引き落とす対象がないまま器だけ作っても、入金ルールが続かずに放置されがちです。
Q. 片方の名義で貯めたお金は別れたらどうなりますか?
原則として名義人のものとして扱われます。未婚のカップルには財産分与の規定がないため、「半分は自分が入れた」と主張するには誰がいつ・いくら入れたかの記録が要ります。結婚資金のようにまとまった額を相手名義の口座に移すと、贈与とみなされる可能性もあります(暦年課税の基礎控除は年間 110 万円)。金額が大きいなら税理士に確認してください。
Q. 同棲していないカップルは毎月いくら共有していますか?
ふたりわりに 2 ヶ月以上の記録がある同棲していないペア 72 組では、ふつうの月の共有支出は中央値 28,456 円、いちばん高い月は中央値 50,147 円でした。振れ幅の正体は旅行です。旅行があった月は中央値 55,706 円、なかった月は 10,752 円と 5 倍以上ちがいます。毎月一定ではないので、定額を積む運用とは噛み合いません。
Q. 共同口座の代わりになる方法はありますか?
3 つあります。①片方名義の口座に目的別口座を作り、旅行などゴールごとに分ける。②共有プリペイドカードで、チャージした分だけふたりで使う。③口座には触らず、立替を記録して会ったときに精算する。同棲していないカップルは毎月の固定費がほとんどないため、③だけで足りることが多いです。
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